2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

旅する人

2005年夏号の文藝に掲載された、しりあがり寿に関する椹木野衣の文章は、旅する人の心象を芭蕉から捉え、旅と漫画の接点を発見している。その中で面白いのは、「旅する人」の定義だ。 哲学者山内得立は『旅する人 芭蕉にふれて』の中で「旅する人」を「本質…

マラルメの舞踏論

バレエについて バレエは少ししか表さない。想像力を必要とするジャンルだ。視線に対して、一般的で散乱する美の表徴、すなわち花とか波とか、雲、宝石等が、切りはなされて立ち現れるとき、我らにおいて、その表徴を知る唯一の方法が、その外見を、我らの精…

なぜ舞踏に惹かれるのか?

田中泯の舞踏を見終わると、感動のあまり席を立てなくなっている自分と舞踏の神秘とも言えるような危うさを訝しむ自分がいた。田中泯はその時、マラルメのいう「夢想のたゆたいの内部で、半ばは問題の要素、半ばは、それに溶け合おうとしている人間」のよう…