2006-01-01から1年間の記事一覧

泉麻人『バスで田舎へ行く』

今年は多くの映画人が亡くなった。今村昌平にはじまり、黒木和雄、岸田今日子、そして実相寺昭雄と。実相寺昭雄はウルトラマンや怪奇大作戦など、特撮ものの傑作を残した映画監督である。去年放映された是枝監督の『憲法9条 忘却』では、帰ってきたウルトラ…

円朝ざんまい

円朝は落語の神様といわれているらしい。実際、円朝は噺もうまかったようだが多くの作品を残した。牡丹灯篭とか四谷怪談といった怪談ものが有名だけど、「何でも歩かなければ、実地は踏めませぬ」という言葉を残し旅ものも作った。円朝は芭蕉が歩いた道を歩…

どうも体調がよくならないので、今日は走るのをやめて家でじっとしてた。じっとしてるのに眩暈がする。昨日調子に乗って6kmランニングしたあとにママチャリで3km先の電気屋までぶっとばし、目的のカラダスキャンが高かったので秋葉原まで電車でいくことに…

【18歳】 地下鉄サリン事件が起きた年、僕は大学に入学した。なぜか工学部の工業化学科という所に席を置くことになり、最初の授業でサリンの化学式を教授が黒板に書いていたのを覚えている。当時はオウムのことなど全くの他人事でしかなかった。サリンが撒か…

さよなら、サイレント・ネイビー

お、面白い・・・。この本は、著者である伊東乾の同級生豊田亨を巡るドキュメンタリーである。豊田亨とは、地下鉄サリン事件でサリンの入った袋を傘で突き穴を開けて逃げ去った人物。そう、これはオウムに関する本なのだ。伊東乾はこの本の中で明らかにした…

浅田次郎『天国までの百マイル』

ものすご〜く、忙しい。何がって仕事がさ。せっかく買った自転車もほとんど乗れてない。唯一成功したのは生活習慣を変えることで、食事内容が劇的に変わり週に5日ランニングするようになった。体重も4キロ減った。だが、1日のほとんどは新たな企画を考え…

数ヶ月悩んだ末、一つの答えを出した。それは、Trek 1000を買うということ。 まず選択肢は大きく3つあった。バイクの中型免許をとるか、デジカメ一眼を買うか、自転車にするか。どれも捨てがたく、数ヶ月この悩みを保持していた。だって、もう30km制限のバ…

セーラー服と機関銃

ドラマ版を見た。長澤まさみってすごいなー。話し方なんて薬師丸ひろ子そっくりだよ。映画版は薬師丸が子供と大人の狭間で揺れ動く様がなんとも瑞々しくってよかったのだけど、ドラマ版はそこをどう表現するのか見もの。演出がTrickやってた人だと思うんだけ…

苫小牧は8℃。地の果てのような海。

『アルキメデスは手を汚さない』

神代辰巳や藤田敏八を思わせる70年代気分感満載の学園サスペンス。すっかりハマってしまった。本書は復刻ものらしいが、初めて読んだ。 著者の小峰元は1973年に江戸川乱歩賞を受賞した本作でデビュー。『ピタゴラス豆畑に死す』や『ディオゲネスは午前三時に…

特に意識しているわけではないのに、今年はやたらと空海にひきつけられる。5月に高野山を訪れた際、橋の上で金剛杖をついて見知らぬ人に怒られたのがまだ記憶に新しい。 今回は仕事で徳島にやってきた。徳島にはお遍路の第一番札所があることを着いてから知…

たまたま立ち寄ったブックオフで2冊の本を買った。 荒川洋治『詩とことば』と川崎和男『プラトンのオルゴール』 荒川の本は前から買おうと思っていたものだったが、川崎の方はたまたま目に入ったので買ってみた。家に帰って本を開くと、意外なことがわかっ…

able

なんだか一つの映画として見るにはあまりに説明が足りていないような気がするのだが、人間の魅力だけでおしとおされしまったような、ともあれ、なんともすがすがしい映画。映画的な魅力はさておいて、この映画は普段なかなか接する機会のない身体障害者との…

国際共同制作ダンス・プロジェクト気配の探求シリーズ最終章「森の祝祭」

白州で毎年行われているダンスキャンプの成果が井の頭公園で披露された。このキャンプには世界各地からダンサーが訪れ、ソロ公演をしながら共同で作品を作り上げていく。去年も井の頭公園で目撃したのだが、僕らはいたく感動してしまって大変だった。周りに…

任侠清水港

次郎長がいかにして暴力の弱さを知っていくかという視点で描かれた映画。片岡千恵蔵扮する次郎長は目力がものすごく、貫禄に満ち満ちている。任侠清水港 [VHS]出版社/メーカー: 東映ビデオ発売日: 1996/12/13メディア: VHSこの商品を含むブログ (1件) を見る

ヘルタースケルター

ヘルタースケルターとは、公園なんかにあるらせん状になった滑り台のこと。だがこの言葉、まずはビートルズのポール・マッカートニーが曲のタイトルとして借用する。ポールがその時胸に秘めていたのは、ヘルタースケルター=滑り落ちることの性的快楽、つま…

中村航『ぐるぐるまわるすべり台』

やっぱこの人、僕と同じ大学の人だった。「斉藤記念館」てのと「新設されたシステム工学部」でこれは!と思っていたのだ。というのがわかると普通少しくらいは親近感が湧きそうなものなのに、病床で早実を応援する王監督みたいにとはいわないまでも、多少は…

安らぎはただ、本の向こうに

砂浜のランチついに手つかずの卵サンドが気になっている バレンシアオレンジしかもつぶ入りの100パーセント果汁のように 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)作者: 俵万智出版社/メーカ…

graphic/design

表紙がいいなと思って買った。これは墨1色で作られた季刊誌である。アートディレクションは戸田ツトム。実をいうと、戸田ツトムのデザインをいいなと思ったことはあまりなかった。特に造本ではなく、表紙とかポスターみたいな一枚の紙で勝負するものにぐっ…

カナリア

この映画、監督も言ってるけど、女囚さそりに相当インスパイアされてるなーというのが第一印象。主演の谷村美月なんて目が梶芽衣子そっくりだし、家族を求めて復讐に走る様なんてもう。塩田明彦という監督は映画美学校で先生をやっていたりしたんだけど、黒…

BRUTUS 「若冲を見たか?」

若冲の展覧会が東博でやっている。来年にはなんと動植綵絵三十幅が京都の相国寺で公開される。これは、間違いなく訪れている若冲ブームに向けた特集号。若冲の波に飲み込まれる前に乗っておけよ、というものなのだろうが・・・。 若冲はいつの時代も新しいと…

中西進『日本語の力』

中学生の頃、なんで女性が化粧をするのか不思議で仕方なかった。仮面みたいに見えるし、人に嘘ついてるような感じが、なんか嫌だった。 「化粧」という言葉は、中国から輸入されて早1000年。1000年前といえば日本は平安時代で、平仮名や片仮名が発明…

ターミナル

やっとホテル暮らしから開放されたので、家のソファでゆっくりビデオでも見ようかと思い、これを選んでみた。ひどい。これはひどいぞ。中身スカスカだよ。逆に人間を描くことはどういうことかってのを考えさせられた。 JFKの中での撮影に閉塞感を感じさせな…

デッドエンドの思い出

単行本が出たときにSくささんが買っててそれを読んでいたはずなんだけど、覚えていたのはやけに黄色い銀杏の装丁だけで内容はすっかり忘れてた。 人というのはあるときぽっかりと心に穴が空くものだとはなんとなく気づいていたけれど、この小説を読むとその…

新潮文庫の2006 http://100satsu.com/ わりとよくできたサイト。 ここのランキングを見ると、今年読んだ本が半分くらい入ってる。ちなみにそれはどんな本かというと、3位『星の王子さま』4位『西の魔女が死んだ』5位『キッチン』6位『海辺のカフカ』9位『夏…

『Gの残影』と『キッチン』

『Gの残影』のGとはグルジェフのこと。神秘主義哲学者ウスペンスキーを軸に実践的思想家グルジェフの思想があらわになっていく。一応ミステリの体裁をとっているが、ウスペンスキーとグルジェフの評論として楽しい。 久しぶりに『キッチン』を読んでぐっとき…

エロス番長『ユダ』

これ、傑作です。すごい。ジュリアンドンキーボーイが日本にもいるとは!?具体的には後で書くにして、びっくりしたのはスタッフに僕と一緒に映画を撮っていたメンバーがいること。うーむ。エロス番長1「ユダ」 [DVD]APS-46出版社/メーカー: アートポート発…

PLANTED

いとうせいこうが編集長を務める植物と共に暮らす人のための雑誌。ベランダに一鉢のかすみ草を育てるだけでもいい、どんな形であれ植物にまつわる人のためのライフスタイル誌である。写真がホンマタカシだったり意匠がルーカス B.B.だったりして見てるだけで…

角川大歳時記

角川書店創立60周年を記念して刊行。既に「夏」が出ていてる。買わなきゃ。角川俳句大歳時記「夏」作者: 角川学芸出版出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/05/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る

『風の又三郎』

監督:黒沢清 朗読:小泉今日子 音楽:大友良英 NHKの「朗読・にっぽんの名作」シリーズの一篇。 廃墟で小泉今日子が宮澤賢治の『風の又三郎』を朗読する。ただそれだけ。だが、黒沢清にかかると賢治ワールドがあっという間にホラーに様変わるのに驚かされた…